皇帝タイプは言わば責任感と誠実さを体現した存在です。与えられた義務をひたむきにこなし、期限付きの仕事や責任の伴う仕事を喜んで引き受けます。その気質は家庭を滞りなく機能させる役目や、法律事務所、行政機関、軍隊など慣習や伝統、規範を重んじるあらゆる機関で活かされ、それぞれの組織で無くてはならない存在となっています。

現実に根付いた理論と実務能力を駆使し、状況を冷静に分析して把握したうえで、そこに実践的な体系を見いだします。生真面目な皇帝タイプが組織の指揮を執ることになれば、目標達成に必要な手順を周囲の人に説明したのち、全員が直ちに状況を理解、行動に移すことを望みます。優柔不断な人間や理解力が乏しいと判断した人は軽蔑し、また自分の計画に水を差されたり心外な指摘を受けたりすると苛立ちを感じます。特に締め切りが近づいている事案に取り組んでいる時に、本論からそれたつまらない揚げ足取りが周囲で展開された場合は、怒りを抑えることができず容赦なく当事者たちを批判するでしょう。

皇帝タイプを理解できるのは皇帝タイプ

自分に課す義務がどんなに重いものであろうとも、必ずややり通す皇帝タイプですから、自分とは正反対のタイプ、つまりいい加減な物言いで期限や約束を軽々しく破るような人物とは当然ながら相容れません。また仕事に対する誠実さに欠けたり、課せられた義務を軽々に怠ったりする人間は、皇帝タイプにとってはほとんど天敵と言えます。しかし、世の中にはこうした人間もたくさん存在するわけで、このような天敵たちとできるだけ関わりたくないこのタイプにとっては、結局一人で作業を進めるか、与えられた権限のその範疇の中で目標を達成する環境を望みます。

実直で正直、義務の遂行が第一と考える皇帝タイプは、あるいは周囲の人に四角四面な印象を与えることになるでしょう。また優しさからついた嘘や身を守るための虚偽といったものはこのタイプの信念に反する行為であり、自分を取り繕うことなく真実を告白します。そのため人から冷淡な人間だと思われたり、感情に配慮しない機械的な人間だと誤解を受けたりすることも避けられません。実際皇帝タイプは自分の感情表現を不得手としていますが、信念に基づいて誠実に行動しているだけで、人として冷たいわけでもとりわけ孤独を愛しているわけでもありません。

頼られている満足感、利用されている閉塞感

皇帝タイプに備わっている俯瞰的能力は、しばしばずる賢い他人から利用される危機にさらされます。物事を円滑に進めることを自らの使命とし、安定と平穏を求めるこのタイプにとって、一部の怠惰な人間や、誰かに責任を擦り付けたい人物の自分勝手な行動は目に余るものであり、そのような人々に計画の遂行を阻害されるくらいなら、自分が被った方がましだと考えているのです。もちろんこのような理不尽な事態の改善を願ってはいますが、状況が良くなる前に自己犠牲が過ぎ、心身の健康に悪影響を及ぼすことのないように注意が必要です。