人々の救済を人生のテーマとし、究極の平和を追い求める伝道師タイプは、実現不可能な理想を掲げるだけの単なる夢想家とは一線を画します。実はその抜け目ない計画性と具体的手順でもって着実に前進し、目標をクリアし続ける現実主義者です。
このタイプの多くの人が慈善活動や事業に身を投じたり、カウンセラーや聖職者を生業として活躍したりしていますが、彼らの最終目標はそうした救済活動をする必要すらないシステムの構築に他なりません。もちろんそこには果てしない困難が待ち受けていることは疑いようもありませんが、伝道師タイプの人にとって、このことこそが真に情熱を注ぐべき究極の命題なのです。

世のために行うことは我がために行うこと

一見穏やかで人当たりのいい伝道師タイプですが、根底に流れているものは信念に基づいた強い意志と揺らがぬ決意です。しかしその忍耐強さや決断力を自己の利益のために使うことは稀で、主に弱者を助けたり、強者の荒ぶる心を鎮め和らげたりするために行動します。
つまりこのタイプの人はどこまでも利他主義に徹し、そこに新しい創造と世界を救う光があると信じてやまないのです。もちろん個人利益を最優先させるような人物とは到底分かり合えず、直接やり合わないまでも心の底で軽蔑していることでしょう。

また伝道師タイプはいわゆる聞き上手と評されることが多いようです。相手に対する思いやりに溢れた言葉を選んで発することができ、人の感情に則した受け答えの仕方がごく自然に身についているからです。そうした人となりが注目を集め、誰もが仲良くなりたいと思うのは当然のことでしょう。しかし、このタイプの人が真にリラックスするのはたった一人で過ごす静かな時間なのです。人の気持ちに敏感で、常に相手に寄り添おうと努める伝道師タイプですから、元気そうな見た目に反して消耗している場合もあるかもしれません。周囲はそのことを理解し、もしも突然数日間姿を消したとしても、心配し過ぎずそっとしておいてあげると良いでしょう。

自身の信念のために戦い続ける

この世のあらゆる過ちを正すために信念をもって行動できる伝道師タイプですから、自分の体力や精神力の限界を超えていることに気付かず頑張り過ぎてしまうこともあり得ます。前述したように、大変社交的に見えてその内面は繊細でもろい部分もあり、特に表立った対立や露骨な非難に晒されるとメンタル面に大ダメージを受けます。もちろんそんな状況に陥らないように細心の注意を払いますが、いよいよその事態が避けられないとなると、日頃の温厚さや思慮深い発言からは思いもよらないような稚拙なやり方で反撃しようとします。

信念のためにタフに活動する伝道師タイプは、滅私奉公や自己犠牲の精神に似通った思想を有していますが、そのたぎる熱意もまずは心身の健康を保ってこそ活かされます。そのことを念頭に置き、自身のコンディションには絶えず気を配っておくべきでしょう。